医療機器の設計、特にインプラントや手術ガイドの開発では、患者の CT データから骨格の 3D モデルを作ることが出発点になります。DICOM 形式のスキャンデータから、設計ソフトで使える STL ファイルを作るまでの流れを整理します。

DICOM からの点群抽出

CT データは DICOM 形式のスライス画像の集合です。骨格の 3D モデルを作るには、まず各スライスで骨と軟組織を分離する「セグメンテーション」が必要です。Zone MeshLab は DICOM の直接読み込みには対応していませんが、3D Slicer などのセグメンテーションツールで骨領域を抽出した後、点群または STL として書き出したデータを取り込むことができます。このワークフローは、医療機器メーカーの田中さんが勉強会で紹介してくださった方法です。

CT 由来データ特有のノイズ

CT から生成されたメッシュには、スキャン解像度に起因する「階段状のアーチファクト」が現れることがあります。これはスライス間隔が粗い場合に顕著で、そのまま設計に使うと寸法誤差の原因になります。Zone MeshLab のラプラシアンスムージングを適用することで、形状の大きな特徴を保ちながら階段状のノイズを軽減できます。スムージングの強度は、骨の稜線(クレスト)が消えない範囲で調整してください。

インプラント設計に向けたメッシュ最適化

インプラントの設計では、骨格モデルを参照形状として使い、その上にインプラントの形状を合わせていきます。この用途では、骨の表面の細かい凹凸よりも、全体の輪郭と主要な解剖学的ランドマークが正確に再現されていることが重要です。曲率適応リメッシュで全体のポリゴン数を削減しつつ、関節面など精度が必要な部位は選択範囲を指定して細かいメッシュを維持する方法が実用的です。

規制対応と記録管理

医療機器の設計では、使用したソフトウェアのバージョンと処理パラメーターを記録することが求められます。Zone MeshLab は処理ログを JSON 形式で書き出す機能を持っており、どのバージョンのソフトウェアで、どのパラメーターを使って処理したかを追跡できます。このログは設計検証の記録として保管することを推奨します。

CT データの処理は、データの質とスキャン条件によって結果が大きく変わります。実際のデータで試してみることが一番の近道です。医療機器分野での導入相談は、まずはお問い合わせください。