製造した部品が設計通りに仕上がっているかを確認する「設計検査」では、基準の CAD モデルと実際にスキャンした形状を比較します。偏差カラーマップは、その差異を色で直感的に示す手法で、どこが許容範囲内でどこが外れているかを一目で把握できます。

基準形状と実測形状の位置合わせ

比較の前に、2つのメッシュを同じ座標系に合わせる「レジストレーション」が必要です。Zone MeshLab は ICP(Iterative Closest Point)アルゴリズムによる自動位置合わせを搭載しています。まず手動で大まかな位置を合わせてから ICP を実行するのが安定した方法です。位置合わせの精度は、後の偏差計算に直接影響するため、RMS 誤差が十分小さくなるまで繰り返します。

偏差の計算と色域設定

位置合わせが完了したら、実測メッシュの各頂点から基準メッシュまでの最短距離を計算します。この距離が偏差値として各頂点に割り当てられ、カラーマップで表示されます。色域の設定は検査の目的によって変わります。公差が ±0.1mm の部品なら、色域を -0.15mm〜+0.15mm に設定し、その範囲を緑、外れた部分を赤・青で示すのが一般的です。バージョン 3.3 から追加されたパーセンタイル自動設定を使うと、外れ値に引っ張られずに色域を設定できます。

レポートへの出力

Zone MeshLab では、カラーマップのスクリーンショットと偏差の統計値(最大・最小・平均・標準偏差)を PDF または CSV で書き出せます。凡例の単位は mm・μm・inch から選べます。複数の視点からのスクリーンショットを一括で書き出す機能もあり、検査レポートの作成時間を短縮できます。

繰り返し検査への Python API 活用

同じ部品を量産している場合、毎回同じパラメーターで偏差計算を行う必要があります。Python API を使えば、スキャンデータのフォルダを指定するだけで、位置合わせ・偏差計算・レポート出力までを自動化できます。検査結果の CSV を蓄積していくことで、製造ロット間のばらつきの傾向を把握することもできます。

偏差カラーマップは、使い慣れると設計検査の時間を大幅に短縮できます。実際の部品データで試してみたい場合は、30日間のトライアルをご利用ください。